ドラマ「恋です!ヤンキー君と白杖ガール」第2話感想

第2話のダイジェストはこちら。

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ユキコを誘導して歩く森生はとても自然体で、1話のぎこちなかった頃からすると大きな進歩です。

私、第2話ですごく好きなシーンがありまして。

それは、弱視のユキコが自販機を「運試し」として何が出るか面白がることに対し森生が「ユキコさんにそんなギャンブラー精神があったなんて!素敵です!」と返すシーン。こういう返しができる森生のフラットな価値観に、見ていてハッとさせられました。自販機で運試しって人によっては「でも飲みたい物が買えないなんて嫌じゃない?」とか「苦手な飲み物がでたらどうすんの?」とか、消極的な意見を言う人もきっといるじゃないですか。かくいう私も、コンポタとか出たら大変…と焦った1人です。でも森生はそれを一緒に面白がってくれて、ユキコは嬉しかったんじゃないかなと思います。あの笑顔はきっとそうだと信じたい。

もう一つハッとさせられたのは、ユキコが白杖を持ち始める前のお話。ユキコは中学生の頃まで日常生活が出来るくらい見えていました。ですが目の病気が進行して今ぐらいまで見えなくなり、家族から白杖を持つことを提案されますが、ユキコは頑なに抵抗します。

「(白杖を持ったら)普通じゃなくなっちゃうってことでしょ?」

「なんで私は見えませんって皆に宣伝しながら歩かなきゃいけないの?そんなの絶対に嫌だよ!」

部屋でひとり涙を流すユキコを観て、私は気が付きました。視覚障がいのある人たちは白杖に抵抗がないと勝手に思い込んでいたことに。だからユキコの白杖に対する思いや葛藤を知った時は衝撃を受けました。思えば1話でユキコは「中学の頃までは結構見えていた」と森生に話しています。その時には、見えなくなっていくユキコの心情について考えが及びませんでした。なんの気無しに1話を観ていた自分を殴りたいです。50分という決して長くない時間の中でこんな大切なこと気づかせてくれるこのドラマすげぇよ…

そんでもって、今回は色んな登場人物への思いが爆発してしまいました。ここから少々荒ぶります。

まずは、森生の中学時代の同級生・ハチ子。

森生や花男のたまり場である喫茶店でバイトしていて、中学時代にいじめから守ってくれた森生のことが好きなんですね。ある時密かに慕っている森生が突然好きな人が出来て気が気じゃないハチ子。しかもその人は白杖を持っている。居ても立っても居られなかったハチ子は偶然を装って2人の元へ現れます。そこでハチ子はユキコに対して「私も白杖持ちたいな」と言うんです。白杖を待てば、きっと森生は自分の側にいてくれると考えての発言です。ハチ子には視覚障がいや白杖についての知識はなく、ユキコが白杖を持つに至った経緯も知らないと思います。だからといって許されるような発言ではありませんし、ユキコに「じゃあ待てば?」と詰められるのも仕方ありませんが、この発言の裏に潜む彼女の抱えてるものを次回以降で丁寧に描いてほしいと思います。今のところハチ子は2人の仲を妬む子ポジションに見えてるけど、ハチ子めっちゃ良い子なんですよ…お願いします監督…

そんなハチ子をちょいちょい気にかけている花男も良かったです。というか1話でも思ったけど花男役の戸塚純貴さんめちゃくちゃ良い表情しますね!?

 

そして、ユキコの姉・イズミ。森生というかヤンキーに対してゴリゴリの偏見を持つイズミはユキコと森生の仲を認めていません。直接森生に会ってユキコに近づかないよう釘を刺す場面で、「何回か会っただけで(ユキコのことを)分かるとか簡単に言わないでくれるかな」とキレる。これはちょっと気持ち分かる。よく考えたらユキコと森生って出会ってから1週間も経ってないんだよな。少なくとも第1話が5日間くらいの出来事だったとすると、そんな短い期間で分かったって言われちゃったら、イズミが憤るのも頷ける。そして追い打ちをかけるように、「あなたなんかにユキコの気持ちは分からない」とキッパリ。う、うぅ…た、確かにそうかもしれないけど…それでも森生はユキコのことを、弱視のことを知ろうとしてくれてる。理解しようとしてくれてる。純粋にユキコと一緒に居たい森生の気持ちが痛いほど伝わってるからこそ、イズミの言葉が胸に刺さって痛かった。やめてくれ、私のライフはもうゼロよ…。ていうかイズミは1話の自転車の件まだ森生が悪いと思ってるフシありそうだよね?誰かイズミに1話のダイジェスト動画見せてあげて…!

と、心に大きなダメージは負いましたが、ここの奈緒さんのお芝居が相変わらず素晴らしいんですよ。この前観た映画の『君は永遠にそいつらより若い』で、ぷよぷよに親殺された人みたいな顔して深夜にゲームする人と同一人物とは全然思えなくて、役者さんの凄さを改めて感じました。現時点では2人の前に立ちはだかる壁になっていますが、イズミの抱えているものや背負っていたものが3話以降で少しでも軽くなればいいなあと願っています。同僚のアヤカもなんだかんだイズミを気に掛ける良い人だし、原作を読んでいるので獅子王との関係性がどうドラマで描かれているのか楽しみです。

 

そして!金沢獅子王

迫力のある雰囲気が漂う獅子王ですが、困っているユキコを森生の元まで連れて行ってくれたり、バスを乗り間違えたユキコに対し「こういうことよくあるのか?」と気遣ってくれる優しき人物として描かれていて、原作の獅子王好きとしては安心しました。ネット上でもすでに優しいヤンキー認定を受けています。そしてユキコと話す森生を見てどこか寂しげにその場を去る獅子王の背中は哀愁が漂っていました。私は獅子王が森生に対する気持ちをちゃんと伝えられる日がくるのを心から待っています。

 

最後に、相変わらず森生が可愛いんすわ…

少しでもユキコのことを理解したくて目隠ししながらの生活を送り(ガラスの仮面北島マヤだ…)、目では見えない世界に気づき宇宙の真理にたどり着いた森生。セルフ音声ガイド映画もそうですが、めちゃくちゃ相手のことを思ってるんだけど絶妙にズレた行動をとる森生が堪らなく愛おしく思えます。そんな役がすごく合う杉野遥亮という役者さんも凄い。

最後にユキコに会えたことの喜びを口にするシーンも大好きなんですよ。これって、1話でユキコが、自分は顔色を読むことができないからちゃんと気持ちを口にしてほしいというお願いをキッチリ守ってるんすよきっと。ああもうなんて愛おしい奴だ。

 

あと個人的に良かったのがBBバーガーの茶尾店長。普段ローテンションな古川雄大さんに陽気さを求めているこのドラマ大変面白いんですが、今回彼がユキコに「恋愛ってしなきゃいけないですか?」と聞かれて、「ん〜してもしなくても、楽しければいいんじゃない?」と軽く返した言葉がとても良かったです。ラブコメでありながらも、別に恋愛軸以外で生きててもいんじゃね?って言ってるようで嬉しかったです。みんなこんな風に軽く言いあえる世の中になってほしいですね。

 

次回第3話はユキコとイズミ姉妹に焦点を当てたお話みたいです。楽しみだな~と予告を見ていたら最後にユキコと森生が!!呼吸が止まるかと思ったわ……衝撃の映像はぜひ、ご自分の目でお確かめください。

 

物語の中で森生が言った「ユキコさん」を数えた結果、回想シーンも含め39回でした。前回よりも10回増えてるので、このままのペースでいったら最終回には100回超えるんじゃないかと畏怖を感じました。ちなみにユキコが「黒川」と言ったのは20回。前回よりは増えましたが、やはり倍近くの差がありますね。今回に関しては途中会わない期間があったことが要因だと思われます。

 

この文章を書いてる30分後にはもう第3話が放送されていることでしょう。このギリッギリまで書く癖は治したいんですが、一分一秒でも長くこのドラマの事を考えられるので、それはそれで楽しいです。