2018年11月29日(木) 雪組公演『ファントム』
妄想。
それは私にとって最大の娯楽です。
のどかな田舎で生まれ育った私は、舞台の世界からほど遠い暮らしを送っていました。
中学生の頃、偶然テレビで出会った宝塚の世界に夢中になるも、様々な要因から実際に観劇することは叶いませんでした。
そんな私が日々勤しんでいたのが妄想だったのです。
用意するものは、宝塚Stage Album。*1
まず、舞台写真と作品の断片的なあらすじを覚えるまで読みこみます。
そして、それをもとにひたすら脳内で作品を完成させていく工程を繰り返します。
こうすることで、寝ても覚めても宝塚のことを考えることが出来たのです。
しかし、どう頑張っても無から有は生まれません。
まだ14年しか生きていない、人生経験の乏しい中学生ができる妄想には限界がありました。
歌唱シーンなんて、どんな歌が流れてるか全く見当がつきません。
なので、音楽室でクラシックのCDからそれっぽい曲を探して補完していました。
今思えば的外れな行動だったかもしれません。
けれど当時の私にとって、好きなものを追い求める唯一の方法が妄想でした。
妄想の為に、バレエなど様々な種類のダンスのテレビ放送があれば録画して観る。
クラシックやジャズのCDを聴く。
宝塚をはじめ、演劇に関係する書籍を読む。
好きなものの為に、自分の出来る範囲で情報を集める精神が培われたのはこの頃でした。
その精神は今も残っていて、何かに夢中になる時にとる行動は昔と変わっていません。
話しを戻しましょう。
当時、私が熱心に妄想していた作品の一つが『ファントム』でした。
あれから14年。
私はついに、雪組公演『ファントム』を観劇したのです。
当たり前ですが、自分の妄想よりもはるかに素晴らしい世界が、目の前に広がっていました。
エリックをはじめクリスティーヌやキャリエール、シャンドン伯爵など、かつて私の脳内で物語を生み出していた登場人物たちが、舞台上で動き、喋って、歌っている!
そのことに対し、感動を覚えずにはいられませんでした。
中学生だった私に伝えたい。「14年後、その妄想の先にはもっともっと素敵な世界が広がってるよ」と。
そしてそこに「今まであなたの聴いたことない美声に酔いしれることになるよ」と付け加えたい。
酔いしれるのは、跡部景吾の美技だけじゃありませんでした。
それくらい、望海風斗さんと真彩希帆さんの美しい歌声に衝撃を受けたのです。
とくにビストロの場面は、客席の皆がクリスティーヌの歌声に感嘆し、歴史に残るような瞬間の目撃者となりました。
この作品を劇場で観られて、本当に幸せです。
あまりに幸せすぎて、神様に取り上げられちゃったのか、12月の観劇予定がなくなりました。*2
次回は、ついに2018年最後の宝塚観劇となります。
はじめての全国ツアー。
熱気のあまりオペラグラスが曇りました。望海さんも、そんなことある?