3月のお気に入り

3月私が心動かされた宝塚作品や人物を紹介します。

 

・シニョール ドン・ファン('03 月組)

現代イタリアのファッション業界を舞台にした、究極のプレイボーイの物語。

紫吹淳さんの男役は「濃厚」の一言。匂い立つような色気とキザっぷりに、はじめは戸惑いながらも次第にクセになる不思議な魅力を持った男役さんでした。

紫吹さんが踊りだすと一瞬で空気が変わり、指先まで美しく舞う姿は観る者を釘付けにします。とくにフィナーレのデュエットダンスはあまりの美しさに鳥肌の後号泣を回避できませんでした。

この公演で卒業する汐風幸さんにハマった方多いのでは?ってくらい最ッ高に恰好良かったんですよ。サングラス姿で現れた時なんてGACKTさんが出てきたんかと思った。袴姿で大階段を降りる汐風さんの穏やかで優しい笑顔は忘れません…

そして映美くららさんはやはり可愛いですね!パレードの階段降りでちょっとだけフラついた後の笑顔が超絶かわいいくて!映像に残してくださって本当にありがとうございます!

また、このお芝居は男役・娘役ともに配役が素晴らしく、もしご贔屓の宙組で再演されたらあのお役はあの方に…と妄想する楽しさも味わえました。

 

 

・ソウル・オブ・シバ!!('05 星組)

タップやブルースなどニューヨークの香りと、豪華なレビューシーンで構成した、エキサイティングなダンシング・ショー。

ニューヨークタイムズによると、私たちの音楽の好みは14歳の時に聞いた音楽によって形成されているという研究結果が明らかになったそうです。

私の音楽の好みは、まさにこのソウル・オブ・シバ!!によって形成されたといっても過言ではありません。貯めたお小遣いで『長崎しぐれ坂 /ソウル・オブ・シバ!! 』のVHSを購入してから来る日も来る日も、テレビの前に噛り付いて観ていた14歳の私。

十数年ぶりにこのショーを観ていると、そんな当時の自分を思い出してむず痒いような気持ちになります。だけどあの日々が間違いなく今の自分を形成していて、他の公演を観ていても「この曲好きだなぁ…あれ、どこかで聞いたことが…?」と思ったらソウル・オブ・シバ!!で使用された楽曲だったことが度々ありました。

私を形作った愛すべき作品。これからも一生の宝物です。

 

・金色の砂漠('17 花組)

シンプルにストーリーが面白くて好きでした。

愛憎劇か〜と軽い気持ちで観始めたら、物語にぐんぐん引き込まれてラストシーンでびしゃびしゃに泣きまくった後、フィナーレでカタルシスを得た私はしばらく放心状態でした。

奴隷のギィ演じる明日海りおさんと王女タルハーミネ演じる花乃まりあさんは当たり役すぎて、ラストシーンは涙なしでは観られません。矜り高いタルハーミネだったら最期はそうするよね…そしてギィは…もうこの時点で涙と洟水でぐちゃぐちゃです。

これで作品は終わると思うじゃないですか。しかしここは宝塚歌劇団。美しい衣装に身を包んだ登場人物たちが次々に歌い踊り、白い衣装のギィとタルハーミネが互いを慈しみながら幸せそうに踊り、エキゾチックで鮮やかなラインダンス、男役による大階段での一糸乱れぬ熱く激しいダンス…と怒涛のごとく踊りが続きます。いつの間にか私の涙と洟水は乾き、自然と笑みが浮かんでいました。これだから宝塚歌劇はやめられません…

この作品については一切のネタバレなく観ることをおすすめします。あらすじだけでも十分理解できるストーリーなのでご安心を。

現在アマゾンプライムでレンタル出来ます!是非!

 

藤井聡太二冠

突然「この人のモノマネがしたい!」と思い立ち、動画を観つづけた結果ドハマりした人物。ちなみにモノマネは全然上達しません。

映美くららミュージック・サロン『マイ・スイート・メモリー』

女優・映美くららさん。

今年に入ってから、NHK朝の連続ドラマ小説『おちょやん』でその姿をご覧になられた方が多いのではないでしょうか。

柔和な表情と健気に座長を支え続ける姿は、朝から私に癒しを与えてくれました。

現在はテレビドラマを中心に活躍されている映美くららさんは、

2001~2004年まで宝塚歌劇団月組のトップ娘役を務めていらっしゃいました。

 

忘れもしない2005年6月4日、卒業公演である月組『飛鳥夕映え 』と『 タカラヅカ絢爛Ⅱ』をテレビで初めて観て衝撃をうけました。

白いお衣装で舞台上に現れたえみくらさんは美しく発光してみえたのです。

この世にこんな可愛い方がいたのかとびっくりしました。

それから寝ても覚めてもえみくらさんのことを考えて続け、

録画したビデオテープは擦り切れるまで繰り返し再生していました。

 

その当時「初めて観た作品が贔屓の卒業公演」という洗礼を受けた私ですが、

めげることなく卒業後のえみくらさんの動向を追ったものです。

 

所属事務所のホームページで出演情報を確認し、コマーシャルを見て小躍りし、旅行会社のパンフレットに写るえみくらさんに癒され、初主演ドラマを観るためにテレビの前で正座待機しました。

実家で飼っていたワンちゃんの名前は、恐れ多くもえみくらさんのお名前を参考にして付けました。

 

これだけえみくらさんを追い続けている私ですが、実は宝塚歌劇団時代の作品は『飛鳥夕映え』と『宝塚絢爛II』の2作品しか観たことがありません。

DVDの購入も検討したのですが、当時学生の私にとって宝塚のDVDはめちゃくちゃに高価でした(今の私にとっても結構高価ですが…今は労働の対価を得られる身ですので…)

そういった理由から現役のタカラジェンヌとしての姿をがっつり見たことがなかったので、えみくらさんのミュージック・サロンがスカステで放送されると分かった時は、喜びに打ち震えました。

 

 

映美くららミュージック・サロン『マイ・スイート・メモリー』(04年 宝塚ホテル)

 

出演者:映美くらら 

美鳳あや 涼城まりな 音姫すなお 青樹泉 彩那音 真野すがた 天野ほたる 葉月さら

日替わりゲスト:北翔海莉 柚希礼音(星組)

 

2004年8月、宝塚ホテルにおいて開催された、映美くららミュージック・サロン。

2004年10月の月組東京宝塚劇場公演・千秋楽をもって宝塚を卒業した、月組主演娘役・映美くららの宝塚最後のメモリアルショー。

同期生同士の暖かな空気の中、歌とトークを繰り広げます。

また、同じ月組の北翔海莉と、同期生で星組の柚希礼音が日替わりでゲスト出演し、ショーを盛り上げた。(タカラヅカスカイステージ番組詳細より)

 

 

 

 

2021年3月3日 PM7:30。

 

私「…っしゃ仕事終わった!! 帰ってえみくらさんのミュサロ観るぞ~!!」

 

 

意気揚々と帰宅。

レコーダーの電源を入れると、画面に1件の通知が。

 

 

私「? なんやこれ」

 

 

リモコン  ピッ

 

 

レコーダー「予約が正しく実行できませんでした。」

 

 

へ????

 

 

レコーダー「番組名:映美くららミュージック・サロン『マイ・スイート・メモリー

受信状況が悪いため、予約の開始に失敗しました。」

 

 

え?????

 

 

失敗????

 

 

 

 

つまり………

 

 

はえみくらさんのミュサロを観られない……?

 

 

 

 

………

 

なにそれ……しんどい………

 

 

 

謎にその後の番組はちゃんと録画されてるのなんで????

 

 

 

泣きそう………

 

 

-完-

 

※調べたところ、スカステでは毎年ひな祭りに合わせて娘役さんのミュージックサロンを放送するらしいので、来年まで気持ちを高めて待機したいと思います!!!

 

月組『プレスティージュ』

3月からTAKARAZUKA SKY STAGE(通称:スカステ)に加入しました。

スカステとは何ぞやという方はこちらをご覧ください。

https://www.tca-pictures.net/skystage/about/

 

これから視聴した作品の感想を記録していきます。

 

グランド・レビュー『プレスティージュ』(96年月組・宝塚)

 

主な出演者 久世星佳風花舞真琴つばさ

 

「プレスティージュ」とはフランス語で「魅」「名声」「威厳」を意味する。

宝塚の伝統である大人数で豪華かつ華麗なるレビュー場面に、現代風なシャープな場面を織り交ぜたバラエティー・ショー。

章ごとに異なる色合いを見せ、個々のスターの魅力を際立たせた。

誰もが夢見る「宝塚らしさ」「美しさとかっこよさ」を大切にした、中村一徳の宝塚大劇場における、作・演出デビュー作。

出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』

 

 高級マンションみたいな名前のショーですね。

 

印象に残った場面

  • 第四章 パラディ・ラタン(ラテンの天国)

これぞ宝塚!!と思わず膝を打ちました。

衣装、音楽、ダンス、どれをとっても宝塚らしさの塊。

フリルやスパンコールなんてなんぼあってもいいですからね。

中詰めで出演者ほぼ全員が舞台上に揃い、フルスロットでラテンダンスを踊り狂う場面は気分を最高潮に押し上げてくれます。

 

  • 第五章 ウエストサイド・ストーリー

場面の最後にトップスターの久世星佳さんが放ったギャグ「ウエストサイズ・ふとーりー!!」なんだか凄く聞いたことあるな~と思ったら、

これ『Gato Bonito!!』の日替わりアドリブで望海さんが言ってた!!(ガトボニのCDで聴けます!)

もしかしたら望海さん、この場面を参考にされたのかもしれませんね。

 

 気になった生徒さん

凄い娘役に出会ってしまいました。

プロローグでダルマ姿に羽をしょって登場した瞬間に分かりました。

彼女が踊りだせば一瞬で空気は変わり、目が離せなくなります。

チャーミングな笑顔とバレエで培った強靭な肉体で溌溂と踊る姿が印象的ですが、

久世さんと組んで踊っているときの彼女はまるでファム・ファタール

二人のデュエットダンスはストーリー性があり、観ていて胸がドキドキします。

二人が組んでお芝居してる作品も観たいな~と思っていたら、

なんと!

今月『銀ちゃんの恋』も放送されるそうなので、今から楽しみです。

 

 

90年代のレビューは初めて観ましたが、クセになる魅力に溢れていてすっかり虜です。

しばらくはシャンパンのことをシャンペンって言いますね。

ヅカオタの備忘録⑦~妄想のその先に~

2018年11月29日(木) 雪組公演『ファントム』

妄想。

それは私にとって最大の娯楽です。

のどかな田舎で生まれ育った私は、舞台の世界からほど遠い暮らしを送っていました。

中学生の頃、偶然テレビで出会った宝塚の世界に夢中になるも、様々な要因から実際に観劇することは叶いませんでした。

そんな私が日々勤しんでいたのが妄想だったのです。

 

用意するものは、宝塚Stage Album。*1

まず、舞台写真と作品の断片的なあらすじを覚えるまで読みこみます。

そして、それをもとにひたすら脳内で作品を完成させていく工程を繰り返します。

 こうすることで、寝ても覚めても宝塚のことを考えることが出来たのです。

 

しかし、どう頑張っても無から有は生まれません。

まだ14年しか生きていない、人生経験の乏しい中学生ができる妄想には限界がありました。

 歌唱シーンなんて、どんな歌が流れてるか全く見当がつきません。

なので、音楽室でクラシックのCDからそれっぽい曲を探して補完していました。

今思えば的外れな行動だったかもしれません。

けれど当時の私にとって、好きなものを追い求める唯一の方法が妄想でした。

妄想の為に、バレエなど様々な種類のダンスのテレビ放送があれば録画して観る。

クラシックやジャズのCDを聴く。

宝塚をはじめ、演劇に関係する書籍を読む。

好きなものの為に、自分の出来る範囲で情報を集める精神が培われたのはこの頃でした。

その精神は今も残っていて、何かに夢中になる時にとる行動は昔と変わっていません。

 

話しを戻しましょう。

当時、私が熱心に妄想していた作品の一つが『ファントム』でした。

あれから14年。

私はついに、雪組公演『ファントム』を観劇したのです。

当たり前ですが、自分の妄想よりもはるかに素晴らしい世界が、目の前に広がっていました。

 エリックをはじめクリスティーヌやキャリエール、シャンドン伯爵など、かつて私の脳内で物語を生み出していた登場人物たちが、舞台上で動き、喋って、歌っている!

そのことに対し、感動を覚えずにはいられませんでした。

中学生だった私に伝えたい。「14年後、その妄想の先にはもっともっと素敵な世界が広がってるよ」と。

そしてそこに「今まであなたの聴いたことない美声に酔いしれることになるよ」と付け加えたい。

酔いしれるのは、跡部景吾の美技だけじゃありませんでした。

それくらい、望海風斗さんと真彩希帆さんの美しい歌声に衝撃を受けたのです。

とくにビストロの場面は、客席の皆がクリスティーヌの歌声に感嘆し、歴史に残るような瞬間の目撃者となりました。

この作品を劇場で観られて、本当に幸せです。

あまりに幸せすぎて、神様に取り上げられちゃったのか、12月の観劇予定がなくなりました。*2

 

次回は、ついに2018年最後の宝塚観劇となります。

はじめての全国ツアー。

熱気のあまりオペラグラスが曇りました。望海さんも、そんなことある?

*1:舞台写真を中心に、生徒の動き、歌劇団日誌など前年の出来事と舞台の記録を網羅した本。地元の図書館でこの本を発見したときは歓喜に震えました。

*2:急遽仕事が入った為、泣く泣くチケットをお譲りしました。

ヅカオタの備忘録⑥~ソロ観劇のすすめ~

2018年11月2日(金) 宙組公演『白鷺の城/異人たちのルネサンス-ダ・ヴィンチが描いた記憶‐』

ソロ観劇が楽しくて仕方がない。

昔、一人で旅行をすると周りから心配されるような人間が、今では月イチペースでひとり宝塚へ遠征しているのだから、まったく分からないものだ。

ソロ観劇の良い点は、開演までの時間を(周りに迷惑をかけない限り)自分の思うように過ごせるところだ。

劇場周辺を足の向くままに散歩して、偶然見つけた店にふらっと入る。パンを買って食べる。近くの図書館で手塚治虫の漫画『火の鳥 鳳凰編』を読む。近くの神社に参拝する。トップスターさんの背負い羽根の重さを体感できるリュックサック*1をしょって歩きまわりお辞儀を繰り返す。

こうやって自分の思うように時間を過ごす。何にも縛られないこの時間がたまらなく好きで自然と口許が緩む。縛られるのは開演時間だけで十分だ。

 

これだけひとりとかソロとか書いてたら、どんだけ孤高のヅカオタなんだって思うかもしれない。でもそれは違う。観劇後の溢れ出す感情を共有する相手のいない悲しさは毎回感じている。たまに座席が隣になった方が話しかけてくださった時には、喜びのあまり逆に冷静になって対応してしまった。私は孤高のヅカオタなのではない、ただフィジカル的にひとりなヅカオタなのだ。

じゃあなんで私はソロ観劇が楽しくて仕方ないのか?それはソロ観劇が私なりの処世術のひとつだからだ。

 

平野啓一郎さんの著書*2に、私という存在はつねに他者との相互関係の中にあると書かれているように、今の私があるのは他者との関わりによるものが大きい。というかほぼ他者のおかげである。けれど、他者との相互関係の中で生きていると、時々そこから抜け出したくて堪らなくなる。だからこそ、ひとりの時間を作ることが重要になる。私は、ひとりの時間を過ごすことで心の均衡を保ち、再び他者との相互関係の中へ戻って現代社会を生きているのだ。

だから宝塚にいるときの私はしばしば『孤独のグルメ』の井之頭五郎になる。

時間や社会に囚われず、幸福に観劇欲を満たす時、つかの間、私は自分勝手になり、自由になる。

…とは言ってもお店や劇場の人とは話すし、完全に他者との関係を断ってるわけじゃないのでかなり中途半端なひとり時間だと我ながら思う。本当にひとりになりたかったら山でソロキャンプした方がいいかもしれないし。

まあ重要なのは、自分の好きなやり方で自分が気を遣わなくてよい時間を過ごすことだと思う。私はひとりでテント張ったり、火起こしは出来ない。

 

※これはあくまで私のソロ観劇に対する考察であり、皆さんにソロ観劇をお勧めしているわけではありません。寂しがりやだけど周りの顔色ばかり気にして体調崩すくらいメンタル弱めな私が、現代社会を生きる糧としてソロ観劇してるってだけの話です。

 

全然演目のこと触れてないけど、『異人たちのルネサンス』のフィナーレナンバーは今までの観劇人生の中でいちばん興奮をおぼえたので、時間があれば是非映像でご覧あれ。芹香斗亜さんの前髪、あれは反則だ…

あとマイエンジェル・星風まどかさんへの見解が公式と一致してめちゃくちゃ嬉しかった。彼女は正真正銘の天使です。

*1:全面に銀のスパンコールが施されたリュックサック。宝塚市立宝塚文化創造館2階のすみれ♪ミュージアムにて体感出来る。

*2:『私とは何か』を参照

ヅカオタの備忘録⑤~東京宝塚劇場へ~

2018年10月23日(火)・30日(火) 月組公演『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』

ここまで順調に宝塚観劇を楽しんできた私だったが、前回の花組公演で「チケットがとれない」ことによる焦りや絶望を味わった。もうこんな思いをしたくないと心に決めた私は、宝塚歌劇Webチケットサービスと宝塚友の会以外のチケット購入方法を探し始めた。インターネットの検索欄に「宝塚 チケット 取り方」と打ちこむと、様々なチケット購入方法が紹介されたブログが数多く見つかり、その充実ぶりに感動した。もしかしてこれはヅカオタの必須科目なのか?

その中で私がすぐに実践できると思ったのが、以下の2つだった。

  1. 各種プレイガイドの利用
  2. カード会社の先行や貸切公演に申込む
さっそく各プレイガイドのサイトへアクセスし、貸切公演に申込んだ。その他先行抽選があれば申込む。初動の速さが重要。

先達のブログで「とにかく数が打てる」と書いてあった通り、数多くの公演に申し込むことで当選の機会を増やせるのがメリットだ。私が利用していたのはローソンチケット、e+(イープラス)、チケットぴあの3つ。そして三井住友VISAカードをもっていた私は「Vpassチケット」*1の利用登録を済ませ、貸切公演に申込んだ。

こうして先達から学び行動した結果、私は東京宝塚劇場月組公演『エリザベート』の貸切公演を観ることができた。当選メールが届いた時の、喜びと安堵で全身の力が抜ける感覚は今でも憶えている。 

東京宝塚劇場

劇場付近はさっぱりと洗練された雰囲気で、地方から来た人間にとっては少し敷居が高く感じる場所だった。いつもの癖で早めに劇場に着いたはいいが、開場までの時間をどこで過ごすか悩んだ。近くに手軽に入れる全国チェーンのお店はなく、おしゃれカフェには入るのを躊躇う。悩んだ末に近くの日比谷公園を散策することに。園内にある日比谷図書文化館で読書などして過ごした。(この時読んでいたのが中山可穂さんの『銀橋』*2)。宝塚歌劇への気持ちを高め、劇場へ向かった。劇場ロビーに入ると、赤い絨毯が敷かれた階段とシャンデリアが迎えてくれて、一瞬で宝塚に戻ってきた気分だった。都会の真ん中にも夢の世界があって安心する。今回の座席は2階席の15列。かなり傾斜があるのでオーケストラピットまでしっかりと見えた。劇場も月組公演も一本物ミュージカル*3も貸切公演も18:30開演も初体験。何もかもが初めて尽くしの観劇に心を躍らせながら、エリザベートの幕が開いた。

エリザベート

 私が初めてエリザベートを観たのは2012年の東宝版だった。冒頭の「我ら息絶えし者ども」を聴いた瞬間に当時の記憶が蘇ってくる。そういえば、入場特典でミルク風呂の入浴剤貰ったなあとかあの頃は古川雄太の歌を心配しながら聴いてたなあとか些細な事を思い出しながら、観劇を続けた(集中しろ)。個人的にゾフィー役の憧花ゆりのさんのお芝居と歌が好きで、観劇後もしばらくゾフィーの歌ばかり口ずさんでた。そして制作発表会の映像で愛希れいかさんの歌を聴いて涙してから、絶対劇場で聴きたいと願っていた「私だけに」。自由を追い求めるエリザベートの強い意志と気高さに心を揺さぶられ、劇場でも涙が止まらなかった。このシーンを観られて本当に良かった。

東宝版との大きな違いといえば、最後のフィナーレとパレード。初見の時は面食らったし、トート閣下の投げキッスというキャラ変を一体どういう気持ちで観ればいいのか戸惑った。しかしそれもつかの間、男役群舞では月城かなとさんに目を奪われて胸が高鳴り、珠城さんと愛希さんのデュエットダンスでは興奮で震え、パレードで昇天した。なにこれ楽しい、もう一回観たい…と思ったら来週もチケット取れてるんだった。なにそれ幸せ……

終演後にはトップスターさんの挨拶もあり、初めてのことに驚きながらも楽しい時間を共有することが出来た。帰りにキャトルレーヴで月城さんのポストカードを買い、幸せな気持ちに包まれながら劇場をあとにして東京駅まで歩いて帰った。

こうやって深夜に高速バスで地元に帰ったり、待合室で缶酎ハイ飲んだりするのも私がそういう自由な人生を選んできたからなんだと実感。来週も高速バスで東京、その3日後には高速バスで宝塚へ…いや、高速バスを選んだのは交通費節約の為であって全然自由じゃないし…交通費を気にせず快適に移動がしたい…

全組制覇を果たした私は、宙組公演観劇のため再び宝塚へ舞い戻る。続くバス移動で、試される体力と宝塚への愛。

次回に続く

*1:VISAカード会員限定のチケット販売サービス。

*2:ひたむきに芸の道に打ち込むタカラジェンヌさんたちの愛と青春の宝塚小説。『男役』、『娘役』に続くシリーズ第3弾。

*3:お芝居が二幕とミニレビューで構成された公演。2018年では花組公演『ポーの一族』も一本物ミュージカルである。

中村倫也が心の支えだった話

自宅で過ごす時間が増えた4月。すると今まで気に留めていなかった隣人の生活音の大きさに気付くようになり、ストレスを感じ始めた私がいた。そんな私の心を支えていたのは俳優・中村倫也さんの動画「中村さんちの自宅から」だった。これは文字通り中村倫也さんが自宅で撮影したゆるい動画を、所属事務所のYoutube公式チャンネルで配信したものだ。時には寝ぐせのついた髪に部屋着姿でカメラの前に現れ、ファンから募った質問に答えたり、時にはエプロンをつけてキッチンで料理したりと、(たぶん)素の状態の中村倫也さんを惜しげもなく観られるコンテンツが誕生したのだ。しかもほぼ毎日更新されるのに全く飽きない。飽きるどころか、観るたびに彼に対する認識が塗り替えられていく。次はどんな新発見!中村倫也が来るのか、動画更新が待ち遠しくてたまらなかった。

「休日はヒゲ剃らない組織の代表やってるので」(意訳:休日はヒゲを剃りません)とテキトー発言を繰り出したかと思えば、ハムスターの選び方について熱く語りだす。前世は一匹狼の侍(最期にシイタケを見ながら死ぬ)だったらいいなとかぬかすし、身長は170㎝だがO脚治せば175㎝あると豪語する。キッチンのコンロ使う時だけ五徳を設置する。めちゃくちゃ料理の手際がいい。コアな漫画トークをし出す*1。夜遅くにTシャツ刷り始める。ギターやピアノを弾きながらバースデーソングを歌ってくれる。突如動画の冒頭で始まるアドリブ絵描き歌。等々、新発見!中村倫也を挙げればきりがない。この動画を観て、私が知っている中村倫也さんは彼のほんの一面に過ぎなかったことを思い知らされる。そもそも私のファースト中村倫也さんは、闇金ウシジマくんに出てた洗脳詐欺師だったからね。そりゃ毎日が新発見だよ。

 ファンからの質問で好きな四字熟語を聞かれてパッと思い浮かぶのが行雲流水*2と虚心坦懐*3だったあたりにも彼の人間性が垣間見える。風のように柔らかくすり抜けていく、掴みどころのない人。そんな軽やかな彼を見ていると、自分の心が解れていくのが分かった。そしてしばし隣人・中村倫也さんの妄想することで私のストレスは次第に解消されていった。大きな足音だってあくびだって、それが中村倫也さんのものなら無問題(モウマンタイ)。YES!ストレスフリー!この動画に出会っていなかったら、きっとストレス爆発して隣人側の壁に向かってスライム人形投げつけてたことでしょう。

この場を借りて中村倫也さんと所属事務所に感謝の気持ちを伝えたい。ありがとうございました。

中村倫也さんに動画撮らせるの思いついた人、コートをクリーニングに出したら内ポケットから1万円札見つかる魔法にかかれ。

*1:入江亜季さんの漫画を読んでる事実に好感度が爆上がりしました。

*2:何事にも執着せずに自然の成り行きにまかせて行動することのたとえ。

*3:心にわだかまりがなく、気持ちが素直でさっぱりしていること。