2023年も残すところあと1日。
というわけで今年を爆速で振り返ります。
まずは観劇記録から。
2月
文劇のキャスト先行の為にWe!プレに加入。
調子に乗った結果、1ヵ月に3回遠征するというハードスケジュールを敢行した月。
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月組公演『応天の門』『Deep Sea-海神たちのカルナバル-』
2023年観劇初めは月組公演だったんですね!もはや遠い記憶です…
『応天の門』は7年前に原作漫画を読んだきりでほぼ初見状態での観劇でしたが、
舞台に高子が現れた瞬間「高子だーー!!」って。感動で鳥肌が立ちました。
私、この漫画の中で高子のことはよく憶えてるんですよ。すごく衝撃的だったから。
業平との駆け落ちに失敗し、連れ戻された後に兄達から受けた酷い仕打ちのことを思い出してしまい観劇中すごくしんどかった。
劇中ではその部分を描いてなかったけど、高子が兄達に向ける眼差しや表情から「そういったことがあった」のがそこはかとなく読み取れるんですよ。しんどすぎて吐きそう。
なにより高子を演じた天紫珠李さんのお芝居が素晴らしかった~。
キャラクターそれぞれの個性が光りながらもストーリーが纏まってて観やすい上に堅実なお芝居で涙腺ぶっ壊してくる月組さん、ありがとうございました!
『Deep Sea-海神たちのカルナバル-』は、サザンクロスレビューやタカラヅカ絢爛で育ってきた私にとって念願の!!極彩色電飾スパンコールフリル満載のバッチバチに熱いショーを肉眼で観られる!!と期待値をMaxまで上げて臨みました。
確かにすごくすごく楽しかったんですが…如何せん月組のお上品で爽やかな雰囲気が拭いきれず、全てをかなぐり捨てて熱狂とまではいきませんでした(あくまで私の個人的見解なのでご了承ください)
でも観た後は無性に浜辺を走りたくなるそんな爽やかなショーでした!
加入したてのWe!プレで申し込んだところ当選したので行ってきました!
上野駅から徒歩8分の飛行艇シアターは昨年オープンしたばかり。
会場の構造を活かしたプロジェクションマッピングを駆使し、
客席通路を使った演出も相まって、物語の世界観に入り込めました。
原作は未読でしたが、坂井の御隠居の過去が判明した瞬間「お前かー!!悲劇の元凶は!!」と心の中で叫びました。ほんと胸糞悪かった。そりゃあ猫から恨まれても仕方ないよ。
物語とは関係ないですが、最後薬売りさんが客席の通路から捌けるときにめっっっちゃ真横を通られたんですよ。
間近で拝見する薬売りさん(新木宏典さん)はものすごく「人ならざる」オーラを纏っていて息を呑みました。
こういう演者との距離感、久しくなかったな…と、コロナ禍以前の観劇の日々に想いを馳せた瞬間でした。
We!プレのキャスト先行でとんでもない席が当たり、陳内将さんには一生足を向けて寝れなくなりました。本当にありがとうございました。
再現度がカンストした演者達、文劇ではお馴染みのブルズ達が作り出す空気感、
自分の座っている席も相まってめちゃくちゃ没入感を味わえました。
地獄、そして地の底から湧き上がってくる高揚感を両方味わえる文劇はしんどいけど最高。アフタートークでニコニコ喋ってる演者のギャップも癖になります。
これからも文劇シリーズは続いていって欲しいけれど、どこかで劇館長を戦いの螺旋から降ろしてあげてと観劇中ずっと思ってました。
戦いの螺旋っていうのは、漫画『バカボンド』の中で宍戸梅軒こと辻風黄平が言った「殺し合いの螺旋から、俺は降りる」という台詞から着想を得た言葉なんですが、劇館長を見ているとこの言葉が頭をよぎるんですよね。
繰り返される戦いの日々、いくら戦っても満たされることのない心を抱えて生きていくのってしんどくないか劇館長…この螺旋から降りられると気づいた時に、彼は本当の意味で救われるんじゃないかなと考えてしまいました。
このあたりがもし今後の文劇で描かれたらきっと私は手放しで喜ぶことでしょう。
文劇を観た後は、きまって生きる力がみなぎってくるんです。
これから落ち込むことがあっても、あの地底からの眺めを思い出して「ここからまた始めるんだ」って何度でも立ち上がれそうです。
3月
先月のハードスケジュールを反省し、遠征は1回に抑えた月。
推し俳優が演じるのは死刑囚。これは観に行くしかありません。
「何が良いことで、何が悪いことなのか?」の固定概念を根底から掘り起こして考えさせられるし、答えを提示してくれてないのでずっと考え続けられる。
一度の観劇では噛み砕くことの出来ない作品で、マチネを観終わってからソワレが始まるまでの間、静かな場所で作品についてずっと思考をめぐらせていました。
また、私の観劇した回には公演後に「ティーチイン」が設けられていました。
ティーチインとは、元々学内討論会という意味ですが、映画業界では一般観覧者と映画関係者が質疑応答することらしいです。今回作・演出を担当した甲斐さやかさんは映画監督なのできっとこういう試みが出来たのでしょう。
そして、終演後の舞台に作・演出の甲斐さんと主演の板尾創路さんと松田凌さんが登壇されてトークと質疑応答が始まりました。
お客さんの質問がこれまた凄いんです。皆さん考察が深い。
「そんな所まで…!?」って驚くくらいあらゆる箇所に意味を見出していて、その観察力に舌を巻きました。
作品を作る側と観る側がお互い言葉を交わして、公演中とはまた違った劇場の空気がとても面白かったです。
7月
4~6月はドラマにハマりブログを書きまくってました。
推し俳優にとっても大切な作品の再演があり、また宝塚観劇では一生忘れられない体験をしました。
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『Being at home with Claude クロードと一緒に』
この作品についての感想はこちら。
kyookanoko.hatenablog.com
ヅカオタ人生最大のやらかしをしました。
端的に言うと「チケットがなくて観劇出来ない」状況に陥りました。
そしてさらに細かく言うと「チケットを発券するor入場する際に必要な会員証カードを忘れて観劇出来ない」状況です。今この文章を書いていても血の気が引く恐ろしさ。
事前にチケット発券しとこうよ!というツッコミは一旦横に置いて、私の話を聞いてください。
宝塚友の会(宝塚歌劇団の公式ファンクラブみたいな存在)の抽選で当たった今回のチケットの受け取り方法は事前発券ではなく、
①公演がある当日に劇場の自動発券機に会員証カードをかざして発券する
②入場の際に専用の機械に会員証カードをかざして発券する
の2種類のみだったんです。いずれも会員証カードが必須。
だから今回の場合、カード忘れすなわち「死」なんです。
今までムラ遠征の時は後生大事に財布にしまってたカードをなぜ忘れたかっていうと、
最近お財布を買い替えた時に入れ忘れてたのです。
ええ、悪いのは私です。
全部私が悪いのですが、3時間かけて劇場まで来てこの状況はあまりに辛い。
真っ青な顔してチケットカウンターに事情を説明すると、初回の過ちということもあり特例で観劇できることになりました。本当に本当にありがとうございました。
ただし、この特例は東西合わせて1回のみとのことです。(当たり前ですね)
「2度目はねぇぞ」という意味の説明をもの凄く丁寧な言葉で受け、
仮の入場券を発行してもらい無事入場することができました。
二度と同じ過ちは繰り返さない、そう固く心に誓って観劇していました。
『鴛鴦歌合戦』はものすごくハッピーな作品でしたね~。礼三郎もお春もとってもチャーミング。ただ一つ申し上げるならば
「いや歌合戦せんのんかい!!!」
タイトルに歌合戦って入ってるけど結局(本当の意味で)歌合戦してるシーンなくて心の中でズッコケました。
『GRAND MIRAGE!』では、私が見たい最強の星風まどかさんが沢山見られて幸せでした。ありがとう!!もうカードは忘れねえ!!
9月
やっぱり月組は見たいよね!ってことでチケットとってムラへ向かいました。
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月組公演『フリューゲル‐君がくれた翼‐』『万華鏡百景色』
2019年月組公演『夢幻無双』での解釈違いから、適切な距離を保っていた演出家・齋藤吉正さんの作品『フリューゲル‐君がくれた翼‐』。
結論、めちゃくちゃ泣きました。やはり月組のお芝居は五臓六腑に染みます。
とくに主人公の母を演じた白雪さち花さんは素晴らしかった!
白雪さんのお芝居と歌声は心に響いて涙が次々とこぼれるこぼれる…
そして全てのキャラクターが魅力的に描かれた群像劇になってるので、誰かが誰かのヒーローになり得たり、自分と重なる部分を見つけたり、そんな見方が出来るんじゃないかと思います。
わりと重要な台詞をドイツ語にしてたり、キャラクターの心の声ナレーションを流したり(後ろの席の人は笑ってた)と気になる所は多々ありましたが、何度でも観たくなる作品でした。
『万華鏡百景色』はもうね、ヅカオタ人生でいちばん衝撃を受けたレビューになりました。なんだこの景気のいいレビューは?演出家の栗田優香さんは天才ですか?
もう全部の場面が好きなんですけどとくに鹿鳴館の場面が最も印象的でした。
私、芥川龍之介の『舞踏会』好きなんですよ。自分が出演する朗読会でも候補に挙げてたくらいに。だからこの場面が始まった当初「わ~芥川の舞踏会もこんな世界観なのかな~」と軽く考えてたら、途中から台詞まで出てきて本当に芥川の舞踏会の再現だと気づいてからはもう大変。
誰かとこの感動を分かち合いたい!でも今は観劇中だし出来ない!と頭の中は大忙し。そしてどこにも出せない思いを抱えたまま次の場面へ転換したらまさかの『地獄変』の世界が始まって…?
卒倒しました。この興奮を一体どこへ吐き出せばいいんですか…
あの時は一度乗ったら降りられないジェットコースターに乗ってる気分でしたね。
江戸、明治、大正、昭和、平成、令和それぞれ時代を移ろいながら、たどり着いたフィナーレは粋で幸せな終着点でした。一生観ていたいくらい大好きなレビューですね。
11月
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『2.5次元ナビ!シアターVol.2~Show Must Go On~』
影響を受けやすい人間なもんで、10月に読んだエッセイを書いた平野良さんの舞台に行ってみました。
恵比寿駅から徒歩2分のシアター・アルファ東京は、地下に舞台があるタイプの劇場。
2.5次元俳優が演じる2.5次元俳優が主人公という、メタ的構造の作品でした。
主演の内海を演じている前川優希さんにすごく惹きつけられましたね。
内海の葛藤、やるせなさ、頑なだった心が次第に解けて満たされていく様子にいつの間にか涙が出ていました。前川さんの他の作品も観てみたい!と素直に思いました。
冒頭で突如始まる架空の2.5次元舞台のトンチキ具合(ごめんなさい)に最初は面食らいましたが、東京凱旋公演での演出変更や演者の成長ぶりを強調するための布石だったと考えれば腑に落ちます。
平野良さんは演出も兼ねているためか出演時間は短かいですが、すごいいい塩梅でお芝居してるのが流石だなと。あと歯のない人の喋り方が上手かったです。
このチケットに関してはかなり前から取っていたのですが、
9月30日の事があってから観劇当日までずっと考え続けた結果、行くことを決めました。
正直心の底から公演を楽しめたかというと、そうではありませんでした。
お芝居もレビューもすごく素敵だったんです!
ただ、まだ自分の感情の整理が追い付いておらず、いつものようにどっぷりと世界観に浸ることが難しかった。こういう体験は初めてでちょっとショックを受けましたね。ん~難しい。
けれど、花組の皆さんがどうか元気で、最後まで全国ツアーを走り抜けられるよう祈りながら拍手を送りました!
12月
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雪組公演『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』『FROZEN HOLIDAY』
観劇出来ることがこれほどまでに得難いことなんだと思ったのは、2022年の月組公演『グレート・ギャツビー』の観劇以来でした。
この一回の観劇を大切に、舞台上の景色を目に焼き付けるぞという思いで臨みました。
まず、タイトル覚えるのに苦労するなという印象だった『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』はめちゃくちゃ好みの物語でした。面白かった!
最後にドイルが言った「生きていくのは時にとても困難だ。けれどだからこそこの世界には物語が必要だ」というニュアンスの台詞がものすごく心に残ってまして。
今まで色んな物語に支えられ、助られた身としては、こうやって作品全体で物語を肯定してくれたことが何より嬉しかったのです。
『FROZEN HOLIDAY』はクリスマスと正月がいっぺんに来た大変おめでたいショーでした。ちなみに私はこのショーを浴びたことですでにクリスマスと正月を済ませた気になっています。
舞台から放たれる雪組の皆さんのパワーがガツンと伝わってきた瞬間、
「私は歌劇をあきらめたくない」と確信して、涙も一緒に溢れてきてマスクの中は大変なことになってました。
劇団に対して思うところはあるけれど、私は歌劇をあきらめたくない。
だからこれからもタカラジェンヌの皆さんに心を寄せていくぞ!と決めました。
以上が2023年の観劇記録でした。
やっと書き終わった!お疲れさま!
良いお年を!